2026年10月|寒露から霜降へ。遠ざかるものが、還ってくるまで

朝日を受けて霜の結晶に包まれた紅葉とローズヒップ。寒露から霜降へ、冷たさを増していく十月の朝

朝晩の空気に、はっきりとした冷たさが混じるようになりました。露が霜へと姿を変えていく十月は、全国の神々が出雲に集まり、各地の神さまが留守になるといわれる神無月です。
2026年の十月は、夜空でも愛と美の星・金星が逆行を始め、しばらく遠ざかっていきます。

古代エジプトには、遠い異国へ流された夫を、女神イシスが探し歩いて連れ帰った神話が伝わっています。イシスの母は天空の女神ヌート、父は大地の神ゲブ。遠ざかるものと、還ってくるもの——その物語に重ねて、十月に寄り添う3つのエジプト香油をご紹介します。

朝日を受けて霜の結晶に包まれた紅葉とローズヒップ。寒露から霜降へ、冷たさを増していく十月の朝

寒露から霜降へ 〜2026年10月のおすすめエジプト香油〜

天空の女神ヌート、大地の神ゲブ、そしてふたりの娘である女神イシス。古代エジプトの神話でひとつの家族として語られる、3柱の神々の香りです。
月の前半はイシス、十三夜の頃はヌート、満月の頃はゲブ——十月の星の流れに沿って、順に香らせてみてください。

1. イシス ― 遠ざかる愛を、迎えにいく女神

遠ざかりかけていた「大切なもの」を、もう一度迎えにいくための香油。

夕暮れの水辺で、沈む陽を受けて揺れる葦の穂。遠くへ流された夫を探して水辺をたどった、女神イシスの旅を思わせる風景

遠ざかった愛を探す女神、イシス

深い愛情と母性、そして強い魔術の力をあわせ持つ女神イシス。ギリシャ・ローマ時代には、愛と美の女神アフロディーテとも重ね合わされました。
夫オシリスが弟セトの企みで棺に閉じ込められ、遠い異国の港町ビブロスまで流されたとき、イシスは各地を探し歩き、ついに夫を見つけ出してエジプトへ連れ帰ったといいます。物語はこのあとも続き、イシスは深い愛と魔術の力で、夫をもう一度よみがえらせます。
遠ざかってしまった愛を、ただ待つのではなく、自ら迎えにいく。その姿は、幾千年ものあいだ語り継がれてきました。

香りの特徴

やわらかな甘さに、香木やバニラを思わせるエキゾチックな深みが重なる香り。神殿に足を踏み入れたときのような、静かで厳かな気配が漂います。

今月おすすめの理由

愛と美の星・金星が逆行を始める十月の前半は、「自分は何を愛し、何を大切にしたいのか」を、外からの評価ではなく自分の感覚で確かめ直す時間です。
かつて好きだったものを棚に戻した日や、天秤座の新月(10/11)に、部屋へディフューザーでそっと香らせてみてください。金星が天秤座へ還る10月25日の夜にも、もう一度。

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2. ヌート ― 月も星も抱きしめる、夜空の女神

言葉を急ぐ前に、夜空を見上げるように想いを確かめるための香油。

星がまたたく夜空に、静かに浮かぶ月。月も星もその身に抱く天空の女神ヌートを思わせる、十月の夜空

天空そのものである女神、ヌート

古代エジプトで天空そのものとされた女神ヌート。星々に彩られたその体の上を、太陽も月も渡っていくと考えられていました。
夕暮れに太陽を飲み込み、朝にふたたび産み落とす——毎日遠ざかり、かならず還ってくる太陽の巡りを、ヌートは自らの体で抱きとめていたのです。

ヌートには、月にまつわる神話もあります。太陽神ラーに子を産むことを禁じられたヌートのために、知恵の神トトが月と盤上の遊びで勝負をして光を少しずつ勝ち取り、暦に5日間を付け足しました。その5日間に生まれたのが、オシリスやイシスたちだといいます。

香りの特徴

芳醇なジャスミンに、やわらかなバニラが溶けあう、甘く奥行きのある香り。星屑を散りばめた夜空を閉じ込めたような、夢のように甘やかな香りです。

今月おすすめの理由

十三夜(10/23)と、翌日から始まる水星逆行の頃に。言葉が行き違いやすいと言われるこの時期は、急いで言葉を足すより、「本当に伝えたかったこと」に耳を澄ませたい時期です。
月の見える窓辺にアロマストーンを置いて。あるいは大切な人へ連絡する前に、ひとしずく含ませたハンカチをそばに置いて、ゆっくりと言葉を選ぶ時間に。

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3. ゲブ ― 霜の降りる大地が、実りを抱く

揺らぎの多いひと月の終わりに、足もとの大地と手の中の実りを確かめるための香油。

黄金色に実り、頭を垂れる稲穂。大地の神ゲブの恵みを思わせる、実りの秋の風景

大地そのものである神、ゲブ

大地そのものとされた神ゲブ。天空の女神ヌートの夫で、イシスの父です。大気の神シュウに天と地を引き離されてからも、横たわるゲブと空をおおうヌートは、ずっと向かいあったまま。
ゲブの体からは草木や穀物が芽吹くと考えられ、豊穣の象徴として崇められてきました。

香りの特徴

ビターなオレンジピールに、ハーバルな柑橘が重なる、すっきりと爽やかな香り。その奥に、肥沃な大地に抱かれているような温かさがひそんでいます。

今月おすすめの理由

牡牛座の満月(10/26)の頃に。天の月が大地の星座で満ちるこの満月は、天のヌートと地のゲブがまっすぐに向かいあう夜です。霜降を迎えて朝ごとに霜が降りるなか、冷たさの下で次の季節の力を静かに蓄える大地——ゲブの香りは、そんな大地の確かさを思い出させてくれます。
旬の実りを味わうダイニングや、一日の終わりに帰ってくる玄関に、ディフューザーでそっと香らせてみてください。

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2026年10月の星の動きとスピリチュアルエネルギー

1. 10月3日:金星逆行のはじまり

愛と美、そして「何を大切に思うか」という価値観を司る金星が、蠍座で逆行を始めます(11月14日まで)。逆行は「見直す」「取り戻す」「選び直す」ための時間。恋愛や人との関係、美しいと感じるものを、いま一度自分の手で確かめ直す季節です。
金星の名の由来は、ローマの愛と美の女神ヴィーナス。遠ざかっていく愛の星に、遠くへ去った愛を迎えにいったイシスの物語を重ねてみてください。

アクション: 最近手に取っていない「かつて好きだったもの」をひとつ、目につく場所に戻してみる。

2. 10月8日〜11日:寒露と天秤座の新月

寒露(10/8)は、草に降りる露が冷たく感じられる頃。七十二候では「鴻雁来(こうがんきたる)」、北の国から雁が渡ってくる頃とされています。11日の午前0時50分ごろには、調和と美を司る天秤座で新月を迎えます。天秤座を司るのは、逆行中の金星。新しいものを増やすより、すでにあるものの中から本当に大切なものを選び直す新月です。

アクション: 毎日使っているのに「なんとなく」選んだままのものを、ひとつだけ本当に好きなものへ入れ替えてみる。

3. 10月23日:霜降と十三夜

露が霜へと変わる霜降。同じ日に太陽は蠍座へ移り、夜は旧暦九月十三日の十三夜です。先月の十五夜に続く「後(のち)の月」で、満ちきる少し手前の月を愛でる、日本で生まれたお月見とされています。十五夜と十三夜のどちらか一方しか見ないことを「片見月」と呼んで避けた、という言い伝えもあります。

アクション: 部屋の明かりを落として、5分だけ月を見上げてみる。満ちきっていない月を、満ちきっていないまま眺めること。

4. 10月24日〜26日:水星逆行、金星の帰還、牡牛座の満月

24日には言葉と伝達の星・水星が逆行を始め(11月14日まで)、25日の夜には金星が故郷の天秤座へ還ります。そして26日の昼過ぎ、大地と五感の星座・牡牛座で満月。ひと月の揺らぎを経て、手の中に残った実りを味わう満月です。
水星逆行の期間は、新しい縁を広げるより、すでにある縁を結び直し、伝えそびれていた言葉をもう一度届けるための時間でもあります。

アクション: しばらく会えていなかった人と、栗や新米など旬の実りを分け合ってみる。遠くにいる相手なら、声で「元気にしてる?」と。


まとめ

2026年10月は、愛と美の星が遠ざかり、月末に還ってくるまでの「不在と帰還」のひと月です。イシスで遠ざかりかけた「好き」を迎えにいき、ヌートで言葉になる前の想いを抱きとめ、ゲブで手の中に残った実りを味わう。
神々が旅に出るといわれる神無月に、'Iraadaのエジプト香油が、あなたの大切なものをそっと照らしてくれますように。

ひとしずくの魔法が、今月もあなたに寄り添いますように。

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