2026年9月|白露から秋分へ。マアトの羽根が問いかける、魂の釣り合い

朝日を受けて白く光る、露をまとった草の穂。白露のはじまりを告げる九月の朝

朝、窓を開けたときの空気が、ふっと軽くなっていることに気づく季節になりました。

九月。夏の熱がゆっくりと退いていき、草の先に降りた露が朝日を受けて白く光りはじめます。
昼はまだ夏の名残をとどめながら、日暮れは日ごとに早くなり、夜の側が静かに面積を広げていく——一年でもっとも「移ろい」がはっきりと目に見えるひと月です。

2026年9月は、9月7日の白露(はくろ)から始まり、9月23日の秋分で昼と夜がぴたりと等しくなり、9月25日の中秋の名月と9月27日の牡羊座の満月へと流れていきます。
光と闇が同じ重さになる日を中心に据えたこの月は、古代エジプトの人々が何より大切にした「マアト」——真実と均衡の女神が象徴する時間そのものです。

星と暦の導きを読み解きながら、秋のはじまりのリズムに寄り添う3つのエジプト香油をご紹介します。

朝日を受けて白く光る、露をまとった草の穂。白露のはじまりを告げる九月の朝

2026年9月の星の動きとスピリチュアルエネルギー

1. 9月7日:白露(はくろ) ― 草の先に、光が降りてくる

二十四節気の「白露」は、大気が冷え始め、草花の先に露が結ぶ頃を指します。
露そのものは無色透明なのに、朝日を受けた瞬間だけ白く輝いて見える——だから「白い露」。何かが加わったのではなく、光の角度が変わっただけで、そこにあったものが見えるようになる節気です。

夏のあいだ、私たちは外へ外へと開いていました。九月のはじまりは、そのまま走り続けるのではなく、空気の温度がいつ変わったのかを自分の身体で確かめ直すタイミング。輪郭がはっきりしてくるこの時期は、暑さでぼやけていた自分の感覚を取り戻す入り口になります。

アクション: 朝いちばん、何かをする前に窓を大きく開けて、外の空気に手のひらと顔を差し出してみる。可能ならベランダや庭に素足で立ち、足の裏から伝わる床の冷たさを数十秒だけ味わうこと。カレンダーの上ではなく、皮膚の温度で「秋が来た」と知る朝を、九月の最初にひとつ。

2. 9月11日:乙女座の新月 ― 削ぎ落とす力と、内側へ折り返す変化

9月11日の昼過ぎ、乙女座で新月を迎えます。
乙女座は「整理」「純度」「実務」を司る星座。大きく広げるよりも、余分なものを丁寧に取り除いていくことで本質が現れる——そういう性質の新月です。

そして同じ日、変革の星・天王星が逆行を開始します。これまで外側へ向かって押し出されていた「変わりたい」というエネルギーが、ここから内側へと折り返していく合図。
新しい何かを増やすのではなく、すでに持っているものの中から「これはもう自分のものではない」と気づいていく——そんな静かな作業が、この時期にはいちばん効きます。

アクション: 家の中の引き出しか棚を「ひとつだけ」選び、中身を全部出して空にしてみる。全部を戻さないこと。手に取ったときに一瞬でも迷ったものは、いったん別の袋にまとめて視界から外す。部屋ではなく引き出しひとつ、という小ささが大事です。乙女座新月の削ぎ落としは、規模ではなく完了することに意味があります。

3. 9月23日:秋分 ― マアトの天秤が、水平になる日

秋分の日、太陽は天秤座へと入り、昼と夜の長さがほぼ等しくなります。
一年のうちで、光と闇が同じ重さで並ぶ、数少ない日です。

古代エジプトの人々は、この世界の秩序を「マアト」と呼びました。真実、正義、均衡——そのすべてを司る女神マアトは、頭に一枚のダチョウの羽根をいただいた姿で描かれます。
『死者の書』に記された「心臓の計量」の場面では、天秤の片方の皿に亡き者の心臓が、もう片方にマアトの羽根が置かれました。天秤を操るのは冥界の神アヌビス、その結果を記録するのは叡智の神トト。心臓が羽根と釣り合ったとき、魂は次の世界へ進むことを許されたといいます。

問われていたのは「正しかったかどうか」ではなく、心臓が羽根と同じ軽さでいられたかどうかでした。抱え込んだ後悔や、誰かへの怒り、自分に課した「こうあるべき」——重さの正体はいつも、自分で載せたものです。

秋分は、その天秤を一度水平に戻すための日。何かを足すのではなく、載せていたものを静かに降ろす日です。

アクション: 秋分の日のどこかで、15分だけ「何も足さない時間」をつくる。音楽もつけず、香りも焚かず、手も動かさず、ただ座って外の光が動いていくのを見ている。頭に浮かんでくることを整理しようとせず、評価もせず、通り過ぎるにまかせること。
この15分は生産的である必要が一切ありません。天秤を水平に戻すというのは、こうした時間の使い方です。

4. 9月25日・27日:中秋の名月と牡羊座の満月 ― 「私」と「あなた」の軸

9月25日は中秋の名月、十五夜です。そしてその2日後、9月27日の未明に牡羊座の満月が空に輝きます。
2026年は暦の上の名月と実際の満月が2日ずれる、少し珍しい年。月がゆっくりと満ちていく数日間を、そのまま味わえる巡り合わせです。

このとき太陽は天秤座、月は牡羊座。
天秤座は「他者との調和」を、牡羊座は「自分の衝動」を司ります。つまりこの満月は、相手に合わせる私と、こうしたい私——そのふたつが真正面から向かい合う夜。

秋分で天秤を水平に戻したあとにこの満月が来るのは、とても理にかなっています。バランスとは、すべてを平らにならすことではなく、自分の側の皿にもきちんと重さを載せることだからです。

アクション: 名月から満月までの数日のうちに、誰かひとりに「私はこうしたい」と口に出して伝えてみる。「ありがとう」でも「大丈夫」でもなく、自分の希望を主語つきで言うこと。行き先でも、食べたいものでも、いつ帰りたいかでも構いません。小さなことほど効きます。牡羊座の満月は、遠慮の中に埋もれていた自分の声を、月の光の下に引き出してくれます。

5. 9月28日:火星が獅子座へ ― 静けさの底に、火が入る

月の終わり、9月28日に火星が蟹座から獅子座へと移動します。
内へ内へと向かっていた九月の流れが、ここでふたたび熱を帯びはじめる転換点。獅子座は「表現」「創造」「輝き」の星座であり、火星はそこに行動のエネルギーを持ち込みます。

秋分までの静けさは、この火を受け取るための準備期間だったとも言えます。整え、降ろし、水平に戻した器だからこそ、次に注がれるものをまっすぐに受け止められる。十月へ向かう助走が、ここから始まります。

アクション: 月末の夜、好きな曲をひとつかけて、3分だけ身体を動かしてみる。踊りでなくていい、ストレッチでも、肩を回すだけでもいい。ただし「運動」としてではなく、音に反応して身体が勝手に動くのにまかせること。声が出そうになったら出す。獅子座に入る火星は、頭で考える前に身体が先に動く瞬間から、その人の輝きを立ち上げていきます。


白露から秋分へ 〜2026年9月のおすすめエジプト香油〜

清らかに澄んでいく朝の空気、天秤を水平に戻す秋分、そして名月の夜に自分の側の皿へ重さを載せ直すこと。
この流れに寄り添う、まだこのブログでご紹介していない3本の香油を選びました。いずれも'Iraadaの月次ブログでは初登場となる香りです。


1. ホワイトムスク ― 白露の朝に降りる、清らかな光

夏のあいだに積もったものを静かに手放し、澄んだ状態から九月を始めるための香油。

朝の光に包まれた白い野の花。白露の頃の澄んだ空気と清らかな輝き

神官たちの祈りの場を満たした香り

古代エジプトにおいて、ホワイトムスクは神殿の神聖な儀式に用いられたと伝えられています。
神々の前に立つ前、まず場を清めること。祈りを捧げる空間そのものを整えることが、儀式のいちばん最初の作法でした。

純白の衣をまとった神官が、石造りの神殿にこの香りを立ちのぼらせる——足すのではなく、余分なものを取り除くことで神聖さが立ち上がる。その考え方は、白露という節気の感覚とよく似ています。

香りの特徴

柔らかく、清潔感に満ちた透明なムスク。甘さや華やかさで主張するタイプではなく、空間の空気そのものを入れ替えていくような、静かな存在感を持っています。
朝の光を受けた露が白く輝く、あの瞬間の質感にとても近い香り。強く香らせなくても、部屋の隅々まで穏やかに行き渡ります。

今月おすすめの理由

九月前半は、白露と乙女座新月が重なる「削ぎ落とし」の時期。
新しいものを取り入れるより、抱えていたものを降ろすことに意識を向けたいこのタイミングに、ホワイトムスクの清らかさはよく響きます。

朝、身支度を始める前にアロマストーンへひとしずく。あるいはディフューザーで部屋にそっと香らせて、一日の空気を入れ替えるところから始めてみてください。
引き出しをひとつ空にする——あの新月のアクションのお供にもぴったりの香りです。

「深い深呼吸が出来る様になった。丹田にエネルギーが落ちていく感じがして思考もクリアになり、楽になった。本来の自分を取り戻せた。」
— 'Iraada公式サイトに寄せられたレビュー「真っさらな自分に還る」より

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2. ハトシェプスト ― 秋分の天秤が求める、調和の女王

相反するものを対立させず、ひとつの器に収めていくための香油。

黄金色に輝く花野。ハトシェプスト女王が築いた平和なエジプトの庭園を思わせる光景

香油の文化を世界へ広げた女王、ハトシェプスト

その名は「最も高貴な女性」を意味します。ハトシェプストは古代エジプト新王国時代、女性でありながらファラオとして即位し、20年以上にわたって国を治めた稀有な統治者です。

戦乱が絶えなかった時代にあって、彼女が選んだのは征服ではなく交易でした。
もっとも名高いのが、紅海の彼方にあったとされるプント国への大遠征。船団は乳香や没薬(ミルラ)といった香りの原料を、樹そのものごと持ち帰ったと、デイル・エル・バハリの葬祭殿の壁に今も刻まれています。エジプトの香油文化が世界へと羽ばたいていく、その大きなきっかけをつくった女王でした。

そして彼女は、女性の身でありながら、公式の像では男性のファラオとしての装いをまとって描かれます。相反するふたつを否定し合わせるのではなく、ひとつの姿の中に収めてしまう——秋分の天秤が水平になる日に、これほど似合う存在はいません。

香りの特徴

濃密で柔らかく、甘い花々が幾重にも重なるフローラル。ただ甘いだけでなく、その奥に植物のしなやかさと芯の強さが感じられます。
ハトシェプストが統治した、争いのないエジプトの庭園——そんな情景がふわりと立ち上がるような、包容力のある香りです。

今月おすすめの理由

秋分は、光と闇のどちらかを選ぶ日ではありません。両方が同じ重さで存在することを認める日です。
「強くありたい自分」と「もう休みたい自分」、「人に合わせたい気持ち」と「本当はこうしたい気持ち」——九月はそのどちらもが同時に立ち上がってくる季節です。

ハトシェプストの香りは、そのどちらかを切り捨てるのではなく、両方を抱えたまま前へ進む力を思い出させてくれます。
秋分の日、静かに座る15分のあいだ、部屋にディフューザーでこの香りを広げてみてください。天秤を水平に戻す時間に、やさしく寄り添ってくれます。

「『始まりの女王』というフレーズに惹かれ購入しました。深呼吸したくなります。甘さの中にもスッキリする感じがあり何処かで嗅いだことがあるような香りで気に入りました。(中略)'Iraadaさんの香油は優しく包まれている感覚になります。」
— 'Iraada公式サイトに寄せられたレビュー「どこか懐かしい香り」より

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3. ネフェルタリ ― 名月の夜に、自分を愛おしむ

他者へ向けてきた愛情を、自分のお皿にも載せ直す香油。

紅葉した枝の向こうに輝く大きな満月。中秋の名月と牡羊座の満月が重なる九月の夜空

「最も美しい人」と呼ばれた王妃、ネフェルタリ

ラムセス2世の正妃、ネフェルタリ。その名は「最も美しい人」を意味します。
ファラオは彼女のためにアブ・シンベルに神殿を建て、その壁に「彼女のために太陽が輝く人」という言葉を刻ませました。王妃の谷に残された彼女の墓の壁画は、今もなお古代エジプト絵画の最高峰と称えられています。

けれど、ネフェルタリの香りが語りかけてくるのは「誰かに愛される物語」ではありません。
愛された記憶を持っている人は、自分をどう扱えばいいかを知っている——そういう方向の香りです。

香りの特徴

高貴な紅茶を思わせる、上品で落ち着いた甘さ。
お客様のレビューには「お花屋さんの店内に入ったときに一斉に感じる、青さも残る花々の香り」「大輪の白いユリを思わせるような高貴で女性的な香り」という表現もありました。
華やかでありながら軽々しくない、静かな品格をたたえた一本です。

今月おすすめの理由

牡羊座の満月が照らすのは、「自分はどうしたいのか」という問いです。
けれど、長いあいだ人に合わせることを覚えてきた人ほど、その問いに答えるのは簡単ではありません。自分の希望を口にすることが、わがままのように感じられてしまうからです。

ネフェルタリの香りは、その手前にある「自分を大切に扱ってもいい」という感覚をそっと思い出させてくれます。
中秋の名月の夜、月の見える窓辺にアロマストーンを置いて。あるいはハンカチにひとしずく含ませて枕元に置き、月光の下で眠る夜を。
自分の側の皿に、ようやく重さを載せられるようになる時間です。

「初めて嗅いだ時に何故か祖父と祖母に可愛がられてた時の記憶を思い出しました。祖父と祖母が愛情を注いでくれたように、自分自身を大切にしようと思えました。この香りを嗅ぐと暖かい気持ちになります。」
— 'Iraada公式サイトに寄せられたレビュー「愛されてた時の記憶が蘇ります」より

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3つの香油の使い分けガイド——9月の星の流れに沿って

この3本は、九月の星の動きに合わせて順に使っていくことで、ひと月の流れそのものを香りでたどることができます。

月初〜中旬(白露〜乙女座新月/9月7日〜11日頃):ホワイトムスク
空気が入れ替わり、削ぎ落としが進む時期に。朝の身支度の前にアロマストーンへひとしずく、または部屋にディフューザーで。一日の始まりの空気を澄ませることから、九月を始めます。

秋分前後(9月20日〜25日頃):ハトシェプスト
光と闇が釣り合い、相反するものを両方抱えたまま歩き出す時期に。何も足さない15分のあいだ、部屋にそっと香らせて。調和の女王の包容力が、天秤を水平に戻す時間に寄り添います。

月末(中秋の名月〜牡羊座満月/9月25日〜28日頃):ネフェルタリ
月が満ち、「私はこうしたい」が立ち上がってくる夜に。月明かりの届く窓辺やベッドサイドで香らせて。自分を大切に扱う感覚を取り戻す、九月のしめくくりの時間に。

もちろん、その日の心の声に耳を澄ませて選ぶのが、香りといちばん美しく付き合う方法です。
「今日はどの香りに惹かれるだろう?」と自分に問いかける瞬間そのものが、移ろいの季節にふさわしいセルフケアになります。


まとめ

2026年9月は、白露のはじまりから秋分の均衡、そして名月と満月の夜へと続く、「釣り合い」を主題にしたひと月です。

ホワイトムスクで九月の空気を澄ませ、ハトシェプストで相反するものを抱えたまま立ち、ネフェルタリで自分の側の皿に重さを載せ直す——マアトの羽根が問いかける魂の軽さへ、香りとともに近づいていく三十日間です。

心臓が羽根と釣り合うために必要なのは、完璧であることではなく、余分なものを降ろしていくこと。
幾千年の時を超えて受け継がれてきた'Iraadaのエジプト香油の叡智が、朝露の光とともに、あなたの天秤をやさしく水平へと導いてくれますように。

ひとしずくの魔法が、今月もあなたに寄り添いますように。

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